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グレーゾーンは療育が必要?概要や理由・療育のコツや保護者への対応も解説

近年よく聞かれるようになったグレーゾーンという言葉をご存知でしょうか。障害や特性を持っているか判別が難しいグレーゾーンの子どもを療育の現場で支援するかの判断に迷ったことがあるという人も少なくありません。そもそも、グレーゾーンの子どもに療育は必要なのでしょうか。

この記事では、グレーゾーンの子どもに療育が必要かどうかについて解説しています。合わせて、グレーゾーンの概要や療育のポイント、グレーゾーンの子どもを持つ保護者んへの対応についても紹介します。ぜひ療育の現場でグレーゾーンの子ども達を支援する際の参考にしてみてください。

発達障害におけるグレーゾーンとは

グレーゾーンとは、黒でも白でもない灰色を物事の中間や曖昧な状態に例えた造語です。2000年頃から徐々に聞かれるようになり、楽曲のタイトルや小説、映画などでグレーゾーンという言葉が広く知られるようになりました。

近年、発達障害においてもグレーゾーンという言葉が用いられるようになり、「発達グレー」などと言われることもあります。

発達障害におけるグレーゾーンは、発達障害の特性や傾向が見られるにも関らず、基準を満たしていないことから診断が付かない状態の人のことを言います。

発達障害における3つのグレーゾーン

発達障害におけるグレーゾーンは大きく3つに分けることができます。

自閉症グレーゾーン

自閉症スペクトラム(ASD)は、対人コミュニケーションを苦手とし、自分の興味や関心があるものへの衝動性を優先してしまうような特性が特徴的な発達障害です。自閉症グレーゾーンでは、「他人に興味がない」「円滑なコミュニケーションが苦手」「複数のことを同時に行うことが苦手」などの特性を持つケースが多いと言われています。

注意欠陥・多動性障害グレーゾーン

注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、不注意、多動、衝動性などの特性が強く表れる発達障害で、全ての特性を持つこともあれば、単一の特性を持つこともあります。特に未発達な子どもの内は診断が難しく、集団生活を通して不注意や多動に気付き、診断がついたりグレーゾーンとなる子どもが多いです。

学習障害グレーゾーン

学習障害(LD)は、知能の遅れ以外の原因により、学習に問題が起こる障害です。文字が読み取れない、文字が書けない、計算ができない、など特定の能力の成長が著しく遅れてしまうケースが多いです。小学生頃から多く見られ、勉強してもできない、学習が周囲から遅れてしまうなどの問題から、学習障害を疑われ診断やグレーゾーンとなるケースがみられます。

幼稚園生や小学生に多いグレーゾーンの子どもたち

もともと、発達障害に見られる特性は健常児でも持ち得るものが多い傾向にあります。アスペルガー症候群によく見られる特定のものに向けられる強い関心や、注意欠陥多動性障害によく見られる不注意の多さや多動は、健常児でも頻繁に見られるものです。

個性なのか、障害なのかという線引きは非常に複雑なため、診断が付かずに発達障害グレーゾーンという位置づけをされる子ども達が非常に多くいます。

特に幼稚園や小学校など、理性や情緒が成長段階である時期は「ちょっと扱いが難しい子ども」という位置づけで見逃されやすく、実は発達障害であるにも関わらずグレーゾーンとして健常児と同じように過ごし、生き辛さを感じてしまうケースも少なくありません。

【生き辛いと感じる】大人のグレーゾーンも問題に

近年は医学的にも発達障害に関する医学的、教育学的研究が進み、世間にも発達障害という言葉が浸透しつつあります。しかし、これらの言葉が認知されはじめたのは1980年代頃からです。それまでは「親の躾が悪い」「我儘」など、特性が理解されず心無い言葉を向けられることも多くありました。現在でも、これらの偏見は完全に無くなったとは言えません。

当時のグレーゾーンの子ども達が生き辛さを感じたまま大人になった結果、社会生活の中で苦しむ「大人の発達障害」という言葉も最近はよく聞かれ問題になっています。

グレーゾーンの子どもに療育は必要?

ここで勘違いしがちなのが、診断がつかなかったグレーゾーンの子ども達への対応です。グレーゾーンの子どもによくあるのが「診断が付かなかったということは、診断がついても極軽度だから療育は必要ないのでは?」というもの。

これは大きな間違いです。発達障害は同じ障害でも特性にバラつきが出やすいため、特性の現れ方によっては社会生活を送るのに大きな支障をきたさないケースもあるでしょう。こういった子ども達がグレーゾーンと位置づけられることが多いです。しかし、子ども自身や保護者は生き辛さや育て難さを感じている可能性が高いと言えます。

また、発達障害において診断基準が10あったとしたら、10以上は発達障害、9以下は健常者と判断されます。特性は環境によっても現れ方が異なるため、検査時に正確に診断することは大変難しいでしょう。
また、診断基準が9個当てはまっていても、2個当てはまっていても同じグレーゾーンと振り分けられることを考えると、グレーゾーンだから症状が軽いとは言えません。

療育の目的は、特性を理解し社会生活に順応できるよう訓練をすることです。そこに発達障害とグレーゾーンの隔たりはなく、生き辛いと感じているなら療育は必要と言えるでしょう。

グレーゾーンの子どもに療育が必要とされる3つの理由

続いては、グレーゾーンの子どもに療育が必要とされる理由についてさらに詳しく解説します。

【理由その1】子どもの生き辛さを軽減できる

グレーゾーンの子どもに多い多動や不注意は、「落ち着きがない」「もの忘れが多い」などと評価されることが多いです。特に幼少期は「小さい頃はよくある事だから」と言われ、親も問題視していない場合もあるでしょう。

しかし、多動の子どもは衝動を無理矢理抑え込まれることにストレスを感じるでしょうし、不注意の多い子どもは叱責を受ける度に自信を喪失していきます。

これらの多動や不注意が発達障害による特性ではなく個性であっても、生き辛さを持っているのなら個性を理解し、対処法を学ぶことが大切です。
自分の特性や個性と向き合うということにおいて、療育以上に適した支援はないでしょう。

【理由その2】発達障害の発症を抑えたり症状を改善したりできる可能性がある

グレーゾーンの子どもの中でも特性が強く表れていない場合、療育を受けることで発症を防ぐことができる可能性もあります。

特性が強く表れる前に、理解を深め子ども自身や周囲が適切な関わり方を学ぶことで、特性を個性として受け止められるケースもあるでしょう。

発達障害について学ぶだけなら、医学書などを読み漁って保護者自身で行うこともできます。しかし、個々に違う特性を適切に理解するには、療育現場で日常的な行動を分析する方法の方が効率的です。

将来的に発達障害に苦しむ子どもを減らすためにも、グレーゾーンの子どもの療育は必要と言えます。

【理由その3】二次的障害の予防になる

あるアンケートによると、グレーゾーンの就園児に見られる困り事で最も多いのは「一斉指示に従えない」というものでした。続いて、「みんなと一緒に活動できない」「自分の話を一方的にしてしまう」など、周囲の大人から見れば「小さい内はこれ位普通。大きくなったらできるようになる」と見逃されるようなものばかりです。

しかし、大きくなるにつれてこれらの行動ができないことで叱責を受けたり、人間関係を構築できなくなったりすると、子ども達は自己肯定感を失い二次的障害が出てしまう可能性があります。

療育を始める時期は早ければ早い程良いとよく言いますが、それは二次的障害を予防するためでもあります。なるべく早くから自分の特性を知り問題の解決方法を学んだり、周囲が特性を理解したりすることで二次的障害を防ぐことができます。

グレーゾーンの子どもの療育に必要な支援とは

普段グレーゾーンの子どもの療育に携わることのない人の中には、「グレーゾーンの場合、何か特別な支援をしなければならないの?」と思う人もいるでしょう。
グレーゾーンの子どもの療育は、通常の発達障害児に行う療育と同じで構いません。

根本的に療育で行うべき支援はグレーゾーンでも、発達障害でも同じです。

強いて行うのであれば、自己肯定感の向上は特に強化していくのが良いでしょう。グレーゾーンの子ども達の中には、療育に辿り着くまでに周囲の理解を得られず特性を問題行動として扱われていたケースが少なくありません。

得意なことや課題がクリアできたことを十分に褒め、自己肯定感を高めて前向きに療育に取り組める環境を作ることが大切です。

また、グレーゾーンに位置づけされる子ども達は、発達障害児と比較するとコミュニケーション能力が高い傾向にあるでしょう。困った時に、周りの大人に助けを求めることができるよう指導することで、困難に直面しても自分自身で周囲にヘルプサインを出せるようになります。

グレーゾーンの子どもの療育において保護者に必要性を伝えるポイント

グレーゾーンの子どもを持つ保護者の中には、子どもに発達障害の可能性があるという現実を受け止められない人も少なくありません。「療育は必要ない」と頑なになる人もいるでしょう。実際に、療育を受けなくても大きなトラブルなく日常生活を過ごせるグレーゾーンの子ども達もいます。

保護者にもグレーゾーンの療育の必要性を理解してもらうために、以下のポイントを押さえて対応してみてください。

療育は子どもの生き辛さを減らす支援であることを伝える

軽度の学習障害や注意欠陥、多動などの特性を持つグレーゾーンの子どもの中には、これまで問題なく日常生活を過ごしてきたというケースも多いでしょう。
しかし、問題視するような大きなトラブルはなくても、小さなトラブルや子どもが感じる生き辛さは決して無視できないものです。これらの生き辛さを抱えながら成長していく中で、自己肯定感の欠如や自信の喪失などの二次被害がある可能性についても保護者に理解してもらうことが大切です。

療育と聞くと医療のようなイメージを持つ保護者もまだまだ多いでしょう。療育はあくまで子どもの特性を理解し、周囲と円滑に過ごせるよう支援する場所であることを伝えてみてください。

療育によって子どもの特性を深く理解できることを伝える

近年はインターネットで何でも調べることができます、グレーゾーンの子どもに対する適切な接し方なども検索すればさまざまな情報が得られるでしょう。しかし、発達障害において完全に一致する特性はほとんどありません。
10人いれば10人に、さまざまな特性があり、強弱も人それぞれです。インターネット上の単一的な対処法では難しいケースも多いでしょう。

療育では、経験や知識を持った指導員が実際に子どもと触れ合い、コミュニケーションをとり、行動を観察して特性について理解します。そして、それらの特性に基づいた対処や支援を行うことを、保護者にも理解してもらいましょう。

療育ではグレーゾーンの子どもの特性を深く理解できるだけでなく、子どもに適した対処方法を教えてもらうこともできます。保護者がこれまで感じていた困り事を改善できることも療育のメリットであると積極的に伝えてみてください。

グレーゾーンの療育は自治体の助成が受けられることを伝える

療育を拒む保護者の中には、金銭面の負担が理由というケースもあるでしょう。グレーゾーンは診断がついていないため、高額な費用が必要だと思っている保護者も多いです。

しかし、多くの自治体では、グレーゾーンでも医師の意見書があれば通所受給者証を発行してもらえます。自治体によって受給者証の名前の違いや所得制限などがありますが、通所受給者証があれば、自治体の助成を受けながら療育に通うことができます。

また、自分自身でグレーゾーンや療育について調べた保護者の中には療育手帳がなければ療育に通えないと思っているケースも少なくありません。特に、未就学児の場合「個性かもしれない」という理由で、療育手帳を申請しても却下されることが多いです。

療育手帳が取得できないことで、療育を受けられないと思っている保護者には、通所受給者証さえあれば助成を受けながら療育できることを伝えましょう。
生き辛さを感じているにも関わらず、発達障害の診断が付かないことで悩んでいるグレーゾーンの子ども達は多くいます。療育に携わっていると、グレーゾーンの子どもに関わることもあるでしょう。
対応に困った時には、ぜひ療育の本質を思い出してみてください。発達障害でもグレーゾーンでも、特性や個性によって日常生活に困っているなら支援は必要です。グレーゾーンの子どもを持つ保護者にも自信を持って療育を勧められるよう、今回紹介した内容を頭において置いてくださいね。

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